先週は、コジジのお話でしたが、その前に、ジジというドリプレガーデンで初めての黒猫が住んでいました。
今回は、その初代黒猫ジジのお話です。
でもね、ジジのお話をしようとすると、すでにね、涙目になってしまうのです。
そうねえ、もう6年以上前のことです。
お客様でも、ジジのことを知っている人は少ないと思います。
たった一年しか、生きることができなかったのです。
2012年の薔薇の季節に入るちょっと前の春の暖かい日。
納屋の隣の機械室に誰が置いていったのか、黒いボロ雑巾が落ちていました。
せつさんがそれを拾い上げようとしたら、いきなり「ニャー」と鳴いたのです。
すっかり雑巾かと思っていたせつさんもびっくり。
だって、よれよれで真っ黒で、誰が見ても猫だとは思わないと力説していました。
確かに長毛の黒猫で、山の生活が長かったせいか、全身がすっかり汚れていて、ガリガリに痩せていたのです。
どう見ても若くはないし、レゲエおじさんか、ホームレス、いやいや、これは仙人かもしれないぞと・・・
それにしてもなんで、機械室に突然あらわれたのでしょうか。
せつさんが機械室にタオルを敷いた段ボールを置いてあげたら、すっかりそこが気に入ったらしく、ずーっとその中で寝ていました。
僕はすぐに病院に連れて行きました。結果、あちこちが悪いらしく、あまり長くはないと言われました。
いわゆる猫エイズの末期だったようです。そのため、ひどい口内炎を患っていて、ご飯をあげると食べるたびにギャッと叫んで飛び上がっていました。
その姿がかわいそうで、見ていられなかったです。もう何度も病院に連れって行っては緩和措置をしてもらい、それからは少し元気になるのですが、しばらくするとまたうずくまっているのです。
そうそう、せつさんが大好きなアニメ「魔女の宅急便」から、ジジと名づけました。
体は病気でたいへんでしたが、猫たちの中でも1・2を争うほどの性格の良さで、どの猫たちともたちまち仲良くなってしまうのです。
どんな猫にも、鼻ツンツン、のあいさつを積極的にするのですが、なにぶん、病気のせいか、すごい匂いがするので、他の猫たちもなんだか困った様子なのです。
あの荒野の暴れん坊ニャジラにも臆することなく、鼻ツンツンしていましたね。その時のニャジラの反応がどうしていいかわからないといった感じで面白かったです。
正直、あまりかわいい猫ではなかったので、ついブログで、「かわいくない」を連発していたら、ジジファンのお客様からメールで叱られたこともありました。
僕の知らないところで、ジジなりにお客様に精一杯ご接待していたようです。正門でのお出迎え、駐車場までのお見送り。
いまのガーデンの猫たちはこの伝統を受け継いでいるのかもしれません。
一年後の薔薇の季節の入り口のある日。
病気がかなり進行して、口内炎もあって、ご飯をほとんど食べられなくなりました。
そのつど病院に連れて行って注射をしてもらうのですが、この頃になると、注射もあまり効かなくなりました。
日に日にやせ衰えていくジジを見るのはつらかったのですが、ジジなりにみんなと仲良くしようと、相変わらず、鼻ツンツンあいさつをしてまわっています。
他の猫たちはなんだか、距離をおいているようで、なんだか寂しい気持ちになったものです。
そして、2013年のゴールデンウィークの真ん中の5月1日。
いつものように、ジジが暮らしている機械室の段ボールを見に行くと、そこで冷たくなっているジジを見つけました。
たった一年だったけど、ジジの誰とでも仲良くしようとする姿と、優しい立ち居振る舞いが忘れられません。
病気で全身を蝕まれていて、本当に苦しかったと思うけど、懸命に生きようとする姿には教えられることがたくさんありました。
伝説の猫チロの隣にお墓を作ってあげました。左がチロ、右がジジです。
それにしても、なんで、ドリプレの猫たちって、薔薇の季節に旅立つのでしょうか。
棺の中はせつさんが手向けてくれた、薔薇のお花でいっぱいです。
本当に、いい猫でした。
次回は、オッドアイのジャパニーズボブテイル、リリーちゃんです。
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